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日本の一般紙でニューヨークタイムズになれるのは東京新聞?!

2019.11.12 Tue

「日本の新聞はニューヨークタイムズになれるか(上)」と銘打って投げかけておきながら“答え”を出さないままになっています。(下)を打ち出す前に、いくつか寄り道をさせてください。 ※文末に関連イベントご案内あり

◇有料路線成功の要因

ニューヨークタイムズ(以下NYT)のデジタル化の路線は、広告収入への期待に傾斜した時期などを含め、試行錯誤を経て、成長の勘どころをつかんだようです。2019年4-6月期に、合計480万部、うちデジタル380万、アナログの紙100万と、有料デジタル路線の新聞としては断トツの成功例となっています。数年後に1000万部をめざすのだとか。(デジタルの中にはクロスワードパズルや料理の単独契約の人も含まれていて、本体契約は300万くらいの模様です。)

その要因としてしばしば言われるのは次の3つです。

1.グローバルに知られた強いブランド力(高級紙として記事に高い評価)

2.紙の販売で見れば地方紙である。(グローバルのデジタル展開の足かせにならない)

3.トランプ大統領が目の敵にして、あたかも同氏がプロモーション本部長

◇日本の新聞はどうか?

日本の一般紙で、このすべてにあてはまるところはないように思います。

冗談半分であえて名前をあげるとしたら東京新聞と京都新聞でしょう。英語版をグローバルに展開する気が両紙にあるかどうかはわかりませんが、ポテンシャルが無いとは決めつけられないでしょう。

前述のNYT成功の3要因と比べてみましょう。

1.Tokyo と Kyoto は世界に通用するブランド

2.ともに地方紙 特に東京新聞の専売店は少ない

3.東京新聞は現政権から煙たがられている

上記1でTokyoとKyotoのブランド力をあげましたが、ここには少々レトリックがあります。NYTはNewYorkという都市のブランド力だけでなく、NYTそのものの国際的なブランドが強力に形成されてきているわけです。その点、日本の2紙は現時点では弱いのですが超有名な都市名を使える点は決して小さくありません。

そのブランドが後押しする中身、すなわち記事がきちんと作れるかどうかです。NYTは、優秀な記者を集め、個人署名入りで長文の記事をたくさん載せています。多ジャンルにわたる記事を連日多数アップし、通信社として多くのメディアに配信もしています。ひとことで言うと厚みのあるニュースメディアです。

◇思いきった発想転換を

東京新聞の経営は体力ある中日新聞社だから、本当にその気になるのならかなり投資ができるでしょう。一方、世界的に有名な文化都市である京都から発信するグローバルニュースメディアとして京都新聞が発展するというのもおもしろいのではないでしょうか。京都新聞は現政権から見た存在感はそれほどないかもしれないですが、この要因はグローバル展開にあたってはあまり関係ないでしょう。案外外部から資金を集められるかもしれません。

以上、単なる頭の体操のお遊びですから、反論などしないでいただきたいのですが、大手広告代理店で新聞を担当し、ネットにもたいへん明るいNさんが「おもしろい!」と膝を打たれたので意を強くしています。その後、あるセミナーで、noteを提供しているピースオブケイク代表の加藤貞顕さんが、同じ趣旨で東京新聞が有望と発言されて、驚きかつうれしくなりました。

頭の体操ではありますが、次世代のニュースメディアを構想するにあたっては、これまでのいきさつにとらわれない斬新な発想が求められていると言えましょう。

【関連イベントご案内】

◎トークイベント デジタル時代のメディア学習・・・いまなぜ新聞を見直すのか 

 11月22日(金)18:30から毎日新聞本社内の毎日メディアカフェにてニュースパーク(日本新聞博物館)館長の尾高泉さんと私(校條諭)が話をします。有料デジタル成功要因にもつながる論点もあります。後半はご参加のみなさんとの意見交換を予定しています。ぜひお申し込みお待ちしております。

 ※概要とお申し込み→ https://mainichimediacafe.jp/eventcal/#l6367

関連情報:

◎インターネットラジオに 出演しました。

亀松太郎さん(元朝日新聞記者)主宰の「あしたメディア研究会」でインタビューを受けました。全5回。

   https://voicy.jp/channel/854/59571

下記は、まったくジャンルが違うイベントのご案内で恐縮ですが、よろしければぜひご参加ください。講師は、私がコーディネーターをしている近未来研究会のメンバーです。

◎米山公啓さんトーク 人生100年時代の医療と生き方 

 毎日新聞日曜版の人気コラム「米山公啓の新・医学の真実」を連載している米山さんは、テレビやネットの健康情報に振り回されないで自由に生きようというメッセージを込めて、最近『長生きの方法 〇と×』(ちくま新書)を出されました。

 いわば米山健康論の集大成とも言える本ですが、わかりやすい語り口で具体例や実践例を交えて語っています。

 たとえば・・・思い込みから自由になる/薬を減らし潔い生き方を/同窓会には出るな・・・など

 目からウロコのお話をぜひ直接聞きにいらっしゃいませんか? 

 質問もたくさん受け付けます。どうぞ気軽にお申し込みください。

◎日時:2019年12月6日(金)18:30~20:10(開場18:00)

◎会場:毎日ホール(地下鉄東西線竹橋駅から直結)

◎参加費:無料(定員になり次第締め切り)

◎お申し込み:下記ページからお申し込みください。

https://mainichimediacafe.jp/eventcal/?yy=2019&mm=12#l6387

(以上)


この記事のコメント

  1. 長岡昇 より:

    グローバルなメディアから見れば、朝日新聞も読売新聞も「日本語という狭い所で読まれている local
    newspaper」です。実際、朝日新聞の記事が 「local paper said」という表現で引用されたのを見たのとがあります。全国紙とか地方紙とかいう区別は、あまり意味がないでしょう。

  2. 校條 諭 より:

    コメントありがとうございます。
    ◎ニューヨークタイムズ(NYT)のデジタル版も8割は国内需要である。
    ◎日本の新聞もウォールストリートジャーナル(WSJ)のように、日本語+英語(記事ごとに随時切り替え可能)とすると想定。
    ◎有料デジタル版の料金をNYT並みに月額1000円程度とする。
    以上の前提を置くと、日本の全国紙は難しいです。地方紙なら、たとえば県内は紙・デジタルのセット原則で従来通りの3000~4000円、県外・国外はデジタルのみで1000円という路線を取れる可能性があります。しかし、全国紙(特に読売、朝日)は全国に自前の販売店が散在して紙を販売しているので、それらを手放すことを覚悟しないとできないでしょう。NYTの成功要因として、以前書いたように、実は料金の点もたいへん大きいと思われます。今回、その点も入れるべきでした。

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