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森友学園問題で公明党が沈黙する理由

2017.03.14 Tue
kazakiri 24 norimitu

森友学園への国有地売却問題には不可解なことがたくさんあります。その一つが「国会でも大阪府議会でも、小学校の建設予定地がある豊中市の議会でも、公明党の議員がまったく質問しないこと」です。公明党の支持母体である創価学会の会員の中には不満が渦巻いているとのことです。

公明党の議員はなぜ、この問題に触れないのか。その理由を探っていくと、一人の人物に辿り着きます。かつて国土交通相をつとめた冬柴鉄三代議士(故人)の次男、冬柴大(ひろし)氏です。1988年から大和銀行(現りそな銀行)に16年勤め、2004年にソニー生命保険に転職、冬柴元国交相が病没した2011年にソニー生保を退職して「冬柴パートナーズ株式会社」(大阪市)を設立しました。その代表取締役です。経営コンサルタントを業務とし、人脈紹介や助成金の申請援助を得意としている会社です。

 官僚側のキーパーソンが財務省の前理財局長、迫田(さこた)英典氏(国税庁長官)とするなら、民間側のキーパーソンは、この冬柴大氏と言っていいでしょう。前回のコラムで、「この問題には疑惑の3日間がある。2015年の93日から5日までの3日間だ」との志葉玲(しば・れい)氏の記事を引用し、安倍晋三首相が94日、安保法制法案の国会審議のさなかに大阪を訪問していたことを紹介しました。安倍首相はこの日、大阪・東梅田駅前の海鮮料理店「かき鉄」で冬柴大氏と会食しています。店のオーナーは冬柴氏です。牡蠣(かき)料理の店で、父親の名前「鉄三」の一文字を冠したのでしょう。

 日刊ゲンダイの電子版(38日)は、経営が思わしくない森友学園は小学校の建設資金に窮していたが、ある都市銀行が20億円を超す融資に応じた、と報じました。そして、その融資を仲介したのは「大臣経験者の子息A氏ではないか、という憶測が流れている」と伝えています。日刊ゲンダイの取材に対して、A氏は「その日に安倍首相と会食したのは事実です」と認めたものの、融資の仲介については「まったくありませんでした」と否定しました。この「A氏」が冬柴大氏で、融資に応じたのは彼がかつて勤めていた「りそな銀行」と見られています。

多忙を極める首相が国会審議の合間を縫って大阪を訪れてテレビに出演し、その後、経営コンサルタントと彼の店で会食する。「重要な案件があったから」と見るのが自然です。その前日、安倍首相は財務省の迫田理財局長と会い、翌日(95日)には昭恵夫人が森友学園経営の幼稚園で講演し、小学校の名誉校長就任を引き受けています。「疑惑の3日間」と言われる所以です。

キーパーソンが冬柴元国交相の息子では、公明党の議員は国会でも大阪府議会でも質問する気にはなれないでしょう。これで「不可解なこと」の一つへの疑問は氷解します。問題の土地の評価を民間の不動産会社ではなく、国土交通省の出先機関、大阪航空局が行ったことも「冬柴人脈」を考慮に入れれば、納得がいきます。

もう一つの疑問、土地の評価をした国土交通省大阪航空局はなぜ「ゴミの撤去」を理由に8億円も値引きしたのか。大阪航空局の鑑定によれば、縄文時代に相当する深い地層にも「たくさんゴミがあるので、撤去に多額の費用がかかる」ということになります。これに関しては、この土地の元地権者たちが怒って、メディアに発言し始めています。元地権者の1人、乗光恭生さん(元豊中市議)は「災害時の一次避難地としての役割も担う公園を建設するというから、みんなで立ち退いて土地を国に売ったのに、いつの間にか森友学園に売られていた。あそこはもともと田んぼや畑。立ち退き時に家を解体してきれいにしたのでゴミなどない」と語っています。なんということでしょうか。

森友学園の籠池泰典理事長が小学校の設置認可の申請を取り下げ、理事長も退任する意向を表明したことで、関係者はこの問題の「幕引き」を図る構えを見せていますが、冗談ではありません。「公園にする」と称して大勢の住民を立ち退かせて土地を国有化した挙げ句、元地権者たちが「ゴミなどない」と言う土地を8億円も値引きして森友学園に譲り渡し、そのうえ「ゴミの撤去」と「土壌汚染対策」の名目で13200万円もの公金を支給していたのです。森友学園が払ったのは、実質わずか200万円。ただ同然です。

国の財産も税金も、自分たちの裁量でどうにでもなる、と考えているのです。こんな人たちにこの国の未来を託せるのか。こんな人たちが責任を問われることもなく、のうのうと生きていていいのか。

 

 

≪参考サイト、記事≫

◎森友学園の資金調達問題を報じた記事(日刊ゲンダイの電子版から)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/200917

◎冬柴パートナーズ株式会社の公式サイト

http://fuyushiba.com/index.html

◎産経ニュース「安倍日誌」201594

http://www.sankei.com/politics/news/150905/plt1509050012-n1.html

◎東梅田の海鮮料理店「かき鉄」(「食べログ」から)

https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27084357/

◎「公園にするというから立ち退いた」と憤る元地権者の1人、乗光恭生さんの記事(YAHOOニュースから)

https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20170313-00068645/

◎メディアに経過を説明する乗光恭生さん(ユーチューブの動画)

https://www.youtube.com/watch?v=YArhC_jOI1Y

 

≪写真説明とSource

◎メディアに語る元地権者の1人、乗光恭生さん(中央)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/200917

 


この記事のコメント

  1. 要精読 より:

    稀に見る丹念な事実追求と鋭い分析です。こういうレポートこそジャーナリズムの手本です。

  2. こんしん より:

    貴重なTEXTありがたうございます!なぜこのことに触れないのかなあ〜〜〜!?と思ってました。すぐウラを想像してたのですよ!
    疑問が晴れました!次に!国有財産管理のトップ!口曲がりエセ貴公子の暗躍!どうか、解析願います!

  3. 小松崎常夫 より:

    素晴らしいレポートです!何故もっと早く報道されないのでしょう?不思議でなりません!

  4. Mitsu より:

    うーん、ポイントがずれてること甚だしい

  5. ドーは同和のドー より:

    てかこんなのあっさりと信じる人達って何なの? 池沼? まあ、あの土地も池だったわけですが。

  6. 井上常三 より:

    冬柴大と政財官界の接点を手繰ってください。呉々も、身辺に気を付けてくださいね。

  7. あああ より:

    どのポイントがずれてるのか教えて下さい。

  8. 匿名 より:

    今まで森友学園問題がなぜここまで騒がれるのか、理由がわからなかったのですが、この記事はある程度それに回答していますね。
    1)この国有地払い下げは合理性がない。国民の資産の不当な贈与に近い。
    2)その不当な贈与行為に、安倍首相および夫人がどこまで関与しているのか、ということですね。
    別の資料では、安倍夫人付の秘書が森友学園による財務省への陳情(?)を仲介していたようです。
    https://pbs.twimg.com/media/C7lbJbPVYAA8Wyn.jpg

    朝鮮学校や韓国学校への格安払い下げ・格安賃料が問題にされるのと同じく、森友学園への不当な国有資産の払い下げは問題です。
    ただ、政治家が陳情を仲介した程度だと、それがどこまで問題なのかは難しいのでは?
    例えば、朝鮮学校への国有地格安払い下げに共産党や社民党の議員が陳情・口利きなどで関与していた場合、議員が役職を辞任するのか?
    東京新宿の韓国学校設立問題は舛添前都知事の(関与どころか)独断で行われかかったわけですが、その件でメディアから批判されたことも少なかったように思います、少なくとも大手マスコミでは。
    また、舛添都知事は韓国学校問題が直接的な原因で辞任したわけでもないですし。

  9. 佐藤和江 より:

    >大勢の住民を立ち退かせて土地を国有化した挙げ句、
     元地権者たちが「ゴミなどない」と言う土地

    この土地は、人が溺死するほどの大きな池が4つもある沼地だった場所を、豊中市が生活ごみを捨てていた。その後民間に払い下げられ、埋め立てて宅地開発した土地です。
    空港の防音対策で国が買い取る際、代替え地の等価交換で損をする地権者や借地権者は居残った。空き地となった部分に、大量の廃車が放置されるようになり、浮浪者が居座るなど治安が悪くなり、コミュニティが崩壊した土地です。
    沼地を埋め立てた民間業者がどのような埋め立て方法をしたのかが
    論じられていない。何故ベンゼンやヒ素が、この土地だけでなく
    急速に宅地造成された豊中市の各地で発見されているのかも不思議です。因みに、私が住んでいる町の中学校も元沼地で、関東大震災の際の瓦礫を使って埋め立てたそうです。今でも大雨が降ると玄関が水浸しになるほど排水が悪い。元地権者が居住する前の、大きな沼地を埋め立てて宅地造成の際の記録を検証したいです。

  10. 長岡 昇 より:

    佐藤和江さん、小学校の建設予定地について詳しい事情を教えていただき、ありがとうございました。地元で生まれ育った人でないと知らないこと、分からないことですね。とても有益なコメントでした。元地権者の話だけに寄りかかっていてはいけない、ということですね。ただ、それでも「深い地層からもゴミがたくさん出てきたので撤去に金がかかる」という国土交通省大阪航空局の判断には、やはり疑問が残ります。縄文時代あるいはもっと古い時代の大規模な遺跡がある、ということなら話は別ですが、それなら発掘調査をしなければなりません。建設予定地については、まだ謎がいくつもあります。

  11. 大石陽一 より:

    これで安倍晋三、昭恵両人と籠池森友学園理事長のずぶずぶの癒着関係と国土交通省、財務省役人の相姦関係がよく分かりました。トランプのいかさま加減は陽性で可愛いですが、安倍夫妻と籠池、財務、国土交通省の癒着は陰湿ですね。このような国にしてしまった元凶がこの事件で炙り出されてきた感があります。

  12. 内田隆司 より:

    疑惑の3日間 おかげでかなりの部分がわかりました。なんで「かき鉄」という公明党関係筋の店だったのかわかりました。また証人喚問で公明党の公認会計士の議員がとんちんかんな質問をしていたわけも推察されました。疑問の一部が氷解しました。このコメントを書いているのが4月3日ですが、今後このブログから目を離せません。よろしくお願いします。

  13. ラララ より:

    以前生活していた小学校の敷地の地権者何十軒の人達をテレビ局が放映して、視聴者に知ってもらったが良い。誰がウソをついているか視聴者が判断できる。

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