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映画「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」(邦題): 原題 LITTLE BOY)

2016.08.30 Tue
政治

2014年のアメリカ映画です。私はこの表題を見た途端、この映画は「先の大戦と
原爆」を描いていると思いました。 と言うのも、LITTLE BOYとは、アメリカ
が広島に投下した原爆の愛称のことで、かなりよく知られているからです。
それは、その大きさ・形から、「LITTLE BOY  ちび」と呼ばれた由、因みに、
長崎に落とされた原爆は、その形状から「FAT MAN」(太っちょ)との名前が
ついたようです。)

この映画を見て、私は現代のアメリカでも、やはり、「原爆投下が日本の降伏を
早め、斯くて戦争を早期に終結させ、多くの米将兵などの犠牲の継続と拡大を
防いだ」という見方に立っていると言う印象を持ちました。

 

監督、脚本はメキシコ出身、撮影もカリフォルニア州に近いメキシコの村

これはアメリカ映画で、使用言語は主に英語、一部日本語ですが、架空の物語
です。今記したように、人材と場所はかなり、隣のメキシコによっていました。

メキシコ出身者もアメリカで活躍するようになっているようです。そして、

いろいろ工夫していますが、見方の根本はやはりアメリカですね。舞台は

フィクションながら、第二次大戦最中のカリフォルニア州で、オヘア
と言う漁村でした。

主人公は、リトル・ボーイと言い、仲間の少年・少女から馬鹿にされるチビの
八歳の男の子です。彼は大好きなお父さんが徴兵されてフィリピンの戦地に
やられてしまったので、何とか取り戻そうと、教会に行ったり、いじめられ
つつも、司祭に教わった善行を実践します。

このとき、傑作なのはチビの兄が兵隊検査で扁平足を理由にはねられた事です。
それを不満とする兄は「そんなの関係ないだろう」と係官に言うのですが、
実際その後、その不合格を意味ありとする事が起きます。対象物に石を投げた
兄が、扁平足のため、上手く投げられなかったのです。扁平足にかような弊害が
あるとは、私も初めて知りましたが、兄の不合格は、代わりに父の徴兵に発展、
この物語に直結していくのです。

 

戦時色の描かれ方

映画のはじめの頃、通りでベンチに腰掛け雑誌を読む紳士が写っていました。
すると、彼が読んでいない頁が通り側に出ていて、ちょうど、其処にヒトラー
の顔写真が大写しになっていたのです。間もなく、太った貴婦人か通りかかり、
その顔写真をパーンと撥ねのけてしまいました。アメリカはドイツとも
戦っていた時ですから、敵の総統ヒトラーの姿は不快そのものであったの
でしょう。それにしても、このメキシコ出身の脚本家と監督は面白い描き方を
すると思いましたね。

 

山を動かす

さて、「何としても父を呼び戻す」と言う信念に固まったリトルボーイは、
そうした子供の純粋さを大切にする、教会の司祭の示唆や、周りの冷やかしに
はやされて、あるとき、村の近くにある大きな山を動かそうとします。「うーん、
おーっ、やーっ。」とやっている内に、実際に動くはずもないのですが、何と
たまたま地震が一帯に起きるのです。 これには、みんなも当人も驚きます。

この体験について、冷静に偶然の天然現象とする人も程々に居たのですが、
「いや、あの子はすごい。」と多くの人がまともに受け止めるようになりました。
時は1940年代のアメリカですが、体験をそのまま受入れる、いわゆる庶民は
結構いたのです。

 

侍の国、日本に向かって

斯くて、リトルボーイ君は、更に一所懸命、呼びかけをするようになります。
どの方向に?

それについて示唆を与えたのは、日系人のハシモトでした。開戦当初、日系人
強制収容所に入れられていた彼は、アメリカ合衆国に忠誠を誓い、釈放されて、
この地に住んでいたのです。司祭の教えるとおり、みんなが嫌い、差別する
日系人と仲良くなったチビは、侍の立派さと、その「侍の国」日本の歴史を
彼から教わり、それがカリフォルニアの向こう、太平洋の彼方に在る所と
知ります。斯くて、大好きな父を返せと、更に繰り返し、呼びかけるのです。
ある日、驚くべきニュースが:

すると或る日、「チビくん凄い。やったね。」と新聞を手にした夫人がやって
きました。 怪訝な顔をするリトルボーイ君に、その人は、他の人とともに
取り囲みながら、「原爆広島に投下、軍都を圧倒する破壊」との記事を読み
上げるのでした。オヘアの人々は、その、もの凄い威力に驚喜し、それを
もたらしたとして、リトルボーイ君を褒め称えたのです。初め、何のことか
分からずにいたチビ君は、間もなく状況を理解し、「凄い! これでお父さんが
帰ってくる。」と言い出します。

ただ、この辺りは、日本人として複雑な思いになるところですね。

 

母の冷めた指摘

こうした中で、比島の前線で日本軍の捕虜となった夫を案じる夫人(チビの母)は、
「これで恨みに思う日本人から、夫がひどい扱いを受けないか」と
心配します。

そして、息子のチビ君に「ひとつの大きな街が消えたのよ。」と語ります。」
チビ君の憂いに満ちた気持ちが広がります。

斯くて、様々な変化と物語を織り込みながら、お話は意外なエンディング
を迎えますが、関心のある方は、是非、最寄りの上映館にお運び下さるよう、
お薦めします。


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