大手メディアが伝えない情報の意味を読み解く
情報屋台
国際
歴史

大水害をお見舞い申し上げます。 現代物理学に触れる・古希を過ぎ、或る新書に大いに啓発されました平成30年7月

2018.07.10 Tue
国際

西日本大水害をお見舞い申し上げます。 平成30年7月
仲津真治
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現代物理学に触れる・古希を過ぎ、或る新書に大いに啓発されました

平成30年7月
仲津真治

この程、視野を広げようと、自然科学系の新書を手にしました。
それは、講談社のブルーバックスの一つで、タイトルは、「E= m・cの二乗のからくり」、 著者は東京電機大学電子工学科卒、アメリカの大学院を経て、米国ロス・アンジェルス・ビアーズ大学物理学科教授等に任じた、アメリカ物理学会員の「山田 克哉」博士です。

著者は在米ですが、本書を始め、多くの各著を日本語で書いていて、「読者に必
ず理解してもらう」との意欲にあふれた筆致で、所謂「からくりシリーズ」など
多数執筆しており、中身は矢張り、アマチュアには難しいものの、確かに啓発されます。

以下、拙理解の範囲で、特に「面白かったり、本当! 凄い」と思うところを中心に幾つか記します。

1) 最初に、「素粒子」です。著者はその厳密な定義を示していません。ただ、まずそれは「内部構造が無い」としていて、「点」の如く振る舞うとしています。素粒子という物理的なモノの言い方をしながら、点という、位置だけを示す数学的な定義を使っているのです。 それは或る位置だけを示すものでして、その体積は正確に「零」であり、どんな微小空間にも、点は無限個存在することになります。

何と、我々生命を始めとする全ての物質は、この不可思議な素粒子の幾種類かの組み合わせで、構成されていると言うのです。しかし、著者は、こうした素粒子だけで物質を構成することは出来ず、謂わば、その糊付けが要るとしています。もっとも、これも素粒子です。

即ち、素粒子には二種類在ります。
第一は物質を構成する物質粒子 それは「フェルミオン」と名付けられています。
第二は、こうした「フェルミオン」を謂わば糊付けする素粒子で、「ボゾン」と命名されています。

これらフェルミオンの間で、ボゾンが交換されることで、糊の力が生じ、物質粒子が出来ていく由です。そう言えば、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士の「中間子」を予言した理論についても、同じような説明がありましたが、 これからすると、その中間子もボゾンの一種と思われます。斯く、約37兆個の細胞で出来ていると言う人体の一つ一つの細胞も、フェルミオンとボゾンから出来ている分けです。

個々の素粒子は「生きている」とはとても言えない状態なのに、沢山のフェルミオンが集まり、ボゾンによって糊付けされ、細胞が構成されますと、何故か其処に生命が誕生するのです。細胞は生きています。

即ち、生命の無い素粒子が集まって来ますと、何故か其処に生命が現れるとは、本当に不思議ですね。 この生命体の最小単位は細胞であって、素粒子ではありません。

2)  ニュートンの運動法則

この生命が生じたのは、我々が知る範囲では、今のところ此の広大な宇宙の中で地球だけです。 そして、この地球で生じた命ある生き物即ち、生物に、進化が起き、遂にヒトが誕生します。 そのヒトの中から、「アイザック・ニュートン」という人物が、17世紀の英国に生まれ、長ずるにつれ、大発見をします。
それは、有名な、それまでのコペルニクス、ガリレオ、ケプラーなと゛の知的成果を集大成するものでした。物体の運動に関するものです。

それは、約言すると、三つの法則からなります。
第一は、慣性の法則で、静止するものはいつまでも静止し、動くものはいつまでも、同じ速度で動き続けるというものです。
第二は、加速度在れば力ありで、力が物体に作用すれば、その方向に、速度を変
化させつつ運動をして行くというものです。
第三は、作用と反作用の法則というもので、物体は、押されれば必ず
押す側を押しかえすというものです。この法則を高校生のとき教わって、私は「何をもっともらしく。当たり前では無いか」と思いましたが、その奥深い意味と広がりが次第に分かってきたように思います。

このニュートンの三法則に体表されるニユートン力学は、21世紀の今日も
力強く活躍しています。 それは、ニュートン存命のころ影形もなかった、自動車、飛行機の設計や、船舶その他の多種多様の機械の設計などに欠かすことのできない重要性が在ると申します。

ただ、それは、その後、知見の開けて来た、原子の内部構造や素粒子の
挙動に関しては無力の由です。 他方、宇宙には適用されています。

この法則確立と同じころ、ニュートンは、もう一つ大事な自然法則を見出しています。所謂万有引力の法則です。 ニュートンはケプラーの法則の知見などをもとに、地球の質量の約八十分の一の月の運動について詳しく観察し、地球と月の引っ張り合いについて研究、その元が地球と月の質量であることを見出した由です。

質量がもとで生ずる力、それが重力です。
それは電荷や磁気などと違ってプラス・マイナスがありません。
つまり、引力のみで、斥力がないのです。

重力は全ての質量あるものが持っています。だから万有引力です。

それは何もない空間を伝わるという、考えてみれば、不思議なものですが、地球重力に関して言えば、我々は自身の体重や物体の重さから、それをを実感しています。 太陽質量について言えば、それは全太陽系質量の99.9%を占めるという巨大なものです。

3)  一瞬に伝わる遠隔作用と、その否定

此の太陽と地球との距離は約一億五千万Km在りますが、ニュートンによれば、両者間の重力は全く時間がかからずに、この間を瞬時に伝わるとしていました。即ち、重力の速度は無限大というわけです。 他の天体間も同様です。

この「一瞬に伝わる遠隔作用」の考え方は、現在では完全に否定されています。その誤りたることが完璧に実証されているのです。

重力が実際に真空を伝わる速度は実は有限で、それは、光の速度と同じ、つまり毎秒30万Kmで、「c」で示されています。 太陽からやってくる光は、約八分後に地球に届きます。 アインシュタインの相対性理論に拠れば、速度には上限があり、光より速い速度は、この宇宙に存在しないのです。

話は戻りますが、この遠隔作用についての誤りが、力学を中心に近代物理学に多大の貢献をしたニュートンをして、電気や磁気の分野に殆ど貢献を貢献しないで生涯を終わらせた理由と言われています。

ニュートンの世界には光速度cが登場しない由です。それはその理論の限界と言うより、光速度より遙かに遅い速度で動く物体を扱うには、それで充分だったのだと言われています。

一方、ニュートン後に発展したあらゆる電気・磁気理論には、光速度が入っている由です。それは、其処から、その理論構築にヒントを得たアインシュタインのアイデア形成に貢献したと見られています。

4) 電荷のもとは電子 では磁気の源は?

ここで、初歩的な電気の知識を持ち出すと、そのもとは電荷と言う事に
なるようです。 この電荷を生み出すものは、素粒子の電子でして、マイナスの電荷を帯びています。 対して、プラスの電気を帯びるのは陽子で、中心にある水素の原子核ともなります。 その周りを電子が廻ると、水素の原子を構成し、電気的には中性となります。

聞けば、電子も陽子もマイナスとブラスの違いがあれ、同じ量の電荷なのに、電子が陽子の1840分の1の質量と圧倒的に軽いため動きやすく、動きにくい陽子よりも、電荷は実質電子の動きで決まると言います。

他方、磁気はなぜ生じるのか、かつて電子に倣って、磁子と言う素粒子の存在が仮定されたこともあるようですが、どうやら、そんなものはなく、現代物理学では、電子のスピンつまり自転がもとで、N Sの磁性、磁界、磁場が生じる事が周知となっています。

斯くて、まとめますと、電場も地場も、その大元締めは電荷の由です。電場は磁場を生み出し、磁場は電場を生み出します。

そして、アインシュタインの相対性理論に拠れば、観測の仕方によって、磁場が電場になり、電場が磁場となります。電磁気の大家「マクスウェル」が予見したそうですが、電場と磁場は互いに独立した存在で無い由、今や両者を一緒にして「電磁場」と呼ぶようになり、また、電気力と磁力をまとめて「電磁力」とよぶのが一般化しています。

5) 電磁力と重力

電磁場にはブラス電荷とマイナス電荷があり、宇宙の局地ではどちらかに偏在しているところがある由ですが、宇宙全体ではプラス電荷の量とマイナス電荷の量は一緒です。 即ち、宇宙を大局的にみると、電磁場は事実上、存在していないことになります。

これに対し、重力にはプラスの値しか在りません。未だかつて、マイナスの質量は観測されたことが無いと申します。 ( ただ、かつて、テレビで見たことがあるミステリー・スポットは実に奇妙なところで、アインシュタインも視察したが、重力異常の原因が良く分からなかった由です。 またグラビティ・ヒルと言う、車が坂道を勝手に上っていく事例も同じ放送で見ましたが、事情御存知の方は、御教示下さい。)

さて、マイナスの質量が無い以上、プラスとマイナスで相殺すると言うようなことは起こりようがなく、宇宙空間を大局的に見ると、其処に存在している場は、「重力場」と言う事になります。

斯くて、電磁力が、正負で全体として相殺されていることを考えると、宇宙空間全体に作用しているのは重力と言う事になり、其処では重力場だけを視野に置けば良いという話になりますね。

6) エネルギーと質量は等価とは?

E=m・cの二乗 という有名な式があります。

著者は、この式について、エネルギーと質量は等価だと言う事を示していると言います。

私の素人理解では、まず、右辺の質量mが全部エネルギーに転換されると、m・cの二乗という莫大なエネルギーに変わると言う意味であり、原理的には原子爆弾の爆発力など、即ち、そのエネルギーを示すものと言われています。

他方、左辺のエネルギーEを投入すれば、右辺の質量mに変換されることだとも言います。 つまり、コップに熱を加えると、それを受けて質量が増加していると言うのです。 ただ、その増加は極く僅かで、極めて鋭敏な質量検知器をもってやっと計れる程度の増加と言います。

こうした変換が可能と言うのが、この等価の意味だそうですが、それは決して、右辺と左辺とが同じと言うことではないと申します。

ただ、此処に言う等価は、コップ即ち物体が静止しているか、光速度に比べ大変遅い場合に言えることで、物体が光速度に近づいてくると、変化が起きてくる由です。

より現実的に、ここで実験装置の加速器で、或る素粒子を加速しているケースを考えてみましょう。 素粒子が光速度に近づくと、その質量は顕著に増加ていくのです。(それは光速度に達すると、理論的には無限大となりますが、実際にはそう言う事は起きず、光速度より手前でとどまります。 光速度になるのは光だけで、しかも、光つまり光子の質量は零です。光とは本当に不思議なものです。)

そして、その素粒子を加速器内で、標的にぶつけると、破壊が起き、所
期の実験成果が得られるという分けです。 懸かる実験を繰り返しつつ、諸成果が分析され、研究が進んでいるのです。

こうした質量の増加は、相対論的なものと謂われ、それは相対論的運動エネルギーの所産でして、ニュートンの想いや理解の全く及ばなかった世界なのでしょう。懸かる理論や実証の成果に触れると、ニュートンの世界は謂わば常識の世界であって、その時代が過ぎ、近代・現代に入ると、全くの非日常の別世界に入ってしまう感があります。 それに進歩は止まりません。

まだまだ、驚きの諸印象や諸雑感が在りますが、長大となるのを避け、この辺で
筆を置き、またの機会とします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

情報屋台に、仲津 真治の新しい記事が公開されましたので、お知らせ致します。次の通りです。 是非、御覧下さい。

「ミラクル エッシャー展を鑑賞」
http://www.johoyatai.com/1763

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
大手メディアが伝えない情報の意味を読み解く
「情報屋台」http://www.johoyatai.com/
お問い合わせ : support-jy@johoyatai.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


コメントする

内容をご確認の上、送信してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

国際 | 歴史の関連記事

Top