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備忘録(19)年頭に続く災い

2024.01.08 Mon

2024年は、能登半島地震の「天災」、羽田空港衝突事故の「人災」、そして昨年末の池田佳隆衆院議員逮捕に発展した自民党パーティー券事件の「政災」で、始まりました。ことしの干支は「甲辰」(きのえたつ)で、甲乙丙の「甲」と登り竜の「辰」ですから、字面からは意気盛んな年になりそうですが、飛び出そうとした竜も足元をすくわれた感じです。

 

能登半島地震であらためて思ったのは、日本は地震列島であり断層列島だということです。今回の地震では、想定を超える120キロもの断層がずれたそうで、過去の断層の跡を見ても、今後の地震の発生場所や規模を予測することは難しいのだと思い知りました。

 

最大の震度7だった石川県志賀町には、北陸電力の志賀原発があります。今回の地震で、東日本大震災のときの東京電力福島原発のような大きな事故は起きませんでしたが、変圧器の油漏れなど無傷ではありませんでした。あれだけの地震でも原子炉に異常は起きなかった、という見方もできると思いますが、断層が発電所の真下に伸びていれば、深刻な事故につながるおそれはあったと見ることもできると思います。

 

羽田空港の衝突事故は、いまのところ海保機のパイロットが空港管制官の指示を誤認したことで起きたように思われます。しかし、数分おきに離発着が繰り返される超過密の羽田空港における管制システムで、ヒューマンエラーに対するフェールセーフの仕組みが不十分なことに驚きました。自動化できないほどのコミュニケーションがパイロットと管制官との間で必要だということでしょうが、フェールセーフシステムの軽視は、専門職の誇りとおごりに空港や航空会社が便乗して、設備投資をけちってきたのではないかと思いました。

 

乗客乗員が全員脱出できたことを「奇跡」だと、欧米のメディアは報じ、客室乗務員の適切な行動やパニックにならなかった乗客の落ち着いた行動が評価されています。その通りだと思います。ただ欲を言えば、客室乗務員から、「いま安全に機外に出る出口をさがしています」という経過説明と、「機体はすぐに燃えませんから大丈夫です」という安心説明があれば、という気がします。また、脱出訓練の目標である90秒と、全員退避の確認を機長がした18分との差を縮小する方策も、今後への教訓として航空会社には示してほしいと思います。

 

自民党のパーティー券をめぐる政治資金規正法の違反事件は、現職議員の逮捕に発展しました。パーティー券収入を政治資金収支報告書に正しく記載しなかったのは、「形式犯」であり、贈収賄のような「実質犯」と違って、身柄の拘束にはつながらないとの見方もありました。東京地検特捜部があえて逮捕に踏み切ったのは、逮捕された池田佳隆議員に悪質な証拠隠滅を疑わせる行為があったためと検察は説明しているようです。

 

たしかに証拠隠滅の恐れは逮捕用件のひとつですから、池田議員が墓穴を掘ったとも言えますが、それだけでなく一罰百戒で、今回の逮捕で、ほかの議員は報告書の改ざんや口裏合わせなどの隠ぺい工作をやりづらくなったのではないでしょうか。その一方、検察が満を持しての逮捕だった可能性もあると思います。それはキックバックで手に入れた資金の使い道で、選挙の買収に使われていれば買収罪になりますし、個人の私的費用に使われていれば脱税につながります。

 

私が今回の事件で、気になっているのは、パーティー券を大量に購入した業者の声がニュースなどで伝わってくるのですが、彼らに共通した「買う側の論理」は、政治家への支援というよりも、公共事業で不利にならないようにするための経費としていることです。公共事業の入札は、競争入札などの仕組みを導入して、政治家が介入する余地がないはずなのに、実際には、政治家の影響力が依然として残されている、ということなのでしょう。

 

公共事業をめぐって、政治家とそれに取り入った業者はともにうま味を得られるような仕組みや悪習を根絶しなければ、こうした「政治とカネ」の問題は続くことになるでしょう。日本の国債発行残高は1000兆円を超え、空前の借金大国になっています。このすべてではありませんが、景気対策などの公共事業に使われたお金もたくさんあります。そのお金が公共事業関連の業者や政治家の懐を潤したと思うと、腹立たしさは増すばかりです。

 

ガザやウクライナでの「戦災」も続いています。今年の先行きを心配させる災いの連続を憂いて、「息災」を仏に祈りつつ、「減災」の方策を人智に求めたいと思います。

(冒頭の写真は、羽田空港事故での乗客脱出を「奇跡」と報じたニューヨークタイムズ電子版1月2日の記事)


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