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さる企業家の体験と重き言葉

2017.05.09 Tue
社会

1  私は新制の大阪府立夕陽丘高校15期の卒業ですが、その一回り先輩に
下條武男氏と言う、旧制と新制の両方を経験した人が居ます。戦後の学制改革に
諸般の事情が加わって、あれこれと重なり、ご当人は旧制の天中三年から、新制
夕陽丘高校の新一年生に編入、その学年から男女共学が始まったので、初めて女
生徒と一緒に机を並べて学び、有頂天の日々を過ごしたという体験の持ち主です。
新制高校二年と三年は女子しかおらず、ペアとなって誕生した新制の天高は、共
学は同じく新一年生だけで、高校二年と三年は対に男子のみでした。

この状態は、昭和23年、24年と年次の経過とともに順次解消、やがて両校ともに
通常の男女共学校となりましたが、こうした共学導入の方式は大阪府独自のもの
であったと聞いています。

2  さて、同先輩は生涯の思い出となった同校を卒業後、難関の入試を突破、阪大
の数学科に入学します。 そして、その卒業に当たり、当時、まだ良く知られて
いなかったコンピュータの会社に就職します。 電子計算機ないしコンピューター
とはアメリカ創始の計算機械ですが、往時は真空管を使っているにしても、日本
では普及もしておらず、要は、その存在はほとんど知られていませんでした。

同氏は、此処で所謂システムエンジニアとして活躍し始めます。アメリカ製の英
語の資料しかなく、その英語が苦手と言う同氏は散々苦労されますが、矢張り
才能と根気と御人柄ゆえでしょう。 さる注文を遂にこなされたと言います。

ここで、氏は実に貴重大切な経験をされています。 それは、分らない英語で書
かれ、専門用語に充ち満ちた解説書の絵図の読解に努められたことでした。 す
ると、氏はこの分野の能力をお持ちで、且つ感が働いたと思われます。 氏自身
が内容を理解し、日本語にして、それで注文者に説明されたと言うのです。 英
語の技術用語の意味を取らずに、その和製の音訳のままの言語を、振り回す手合
いが多い中、この下條氏の対応は日本人に分りよく、好評であったと言います。
実際、これは、事の核心を突いています。また、以後、御自身の自信に繋がっ
たと申します。

それは明治以降、欧米に対し、日本が未だ持つ、課題の焦点と言うべきでしょう。

3  その後、日本能率研究所を経て、そこでの同僚の方などとともに、「日本コン
ピュータ・ダイナミクス NCD」というソフトウェア会社を立ち上げた氏は、やが
て、同社のジャスダックへの上場を果たし、同社をして今や我が国を代表する
ベンチャー企業に育て上げ、氏はその分野で重きを成す人となりました。

御近著の「日刊工業新聞社刊 360度思考で生涯現役」の御一文から、その
「御趣旨」に沿って引用致しますと、

「自分が良いと思った商品が良いとは限らず、お客さんが良いと判断した商品が
良い商品なのです。」

「商品やサービスに対する評価は市場が決める。」 もっと言えば、「考え方の
異なる人の大きな集まりである社会」が決めると言う事です。

これは、市場経済の本質をずばり突いています。 こうした事にそもそも気が
つかず、社会の支配勢力となり、自身で商品やサービスの質と量、価格などを
決めて、世の中を仕切り、動かすことが出来ると盲信した社会主義体制や共産党
の問題の核心が此処に現れています。 それが計画経済や、かの体制の本質です。

氏の言葉には謙虚に社会と相対して来た、企業家としての重い経験、知恵と信念
がほとばしっているように思います。


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