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ジェットコースターのようなモノレールに乗る

2015.12.11 Fri
社会

この12月の始め、浪漫巣倶楽部と言う高校同窓の集まりによる旅行で、久々に鎌倉・江ノ島方面に出掛けました。幸い程々の天気に恵まれ、鎌倉大仏、長谷寺、江ノ島辺りを一泊二日でゆっくり楽しく旅したのですが、その帰途、生まれて初めて「湘南モノレール」という懸垂式のモノレールに乗りました。前から機会があれば、この線に乗車して見ようと思っておりましたので、今回遂にそれが実現したことになります。
湘南モノレールとは?

それは、JR東日本の大船駅と、湘南江の島駅(江ノ電の江ノ島駅の直ぐ近く)の間 約6.6kmを結ぶ懸垂式モノレールで、浜松町と羽田空港と結ぶ跨座式の羽田モノレールとは好対照を成すものです。ただ、両者ともに、路線が市街を迂回している感じは共通しています。
初めて乗った湘南モノレールの印象

湘南モノレールは端的に言うと「ぶら下がりタイプ」で、羽田モノレールは「跨がるタイプ」です。ともに同じような速さで走るようですが、良く乗る羽田モノレールは安定している感じがするのに対し、初めて乗った湘南モノレールは、スピード感があって、上下の動きも結構在り、ややオーバーですが、まるでジェットコースターに乗っているようでした。

それは、後述する、かつての自動車道の上の空間を走るのですが、その道路の特徴を
反映しているからか、アップダウンが随分ありました。また、その道路幅が狭いからか、単線で、三両編成です。これに対し、羽田モノレールは複線で六両ですから、輸送力にはかなりの開きがあると思われます。
当初実験、されど定着、大変な混雑

ところで、湘南モノレールは元は実験型として作った路線の由ですが、今や利用客の九割が通勤で、すっかり定着している様です。設置・運行開始は昭和45年で、路線免許のの根拠は当時の地方鉄道法と言います。事業者の実質を成していたのは実はメーカーで、三菱重工や三菱電機と聞きました。両社は海外のノウハウや設備の導入を試みたようで、かくて実験と言い方も残っているのでしょう。今や、利用客は極めて多く、乗客を詰め込みすぎて窓硝子にひびが入ることもあると聞きました。昭和三十年代の国電地獄並みですね。

かくて、ここでの実験成功は、同一メーカーによる、その後の千葉モノレールの建設と成功に繋がっている由です。 ちなみに、羽田モノレールの方は、日立運輸という企業による導入が成就したものと聞いています。
自動車道の建設と活用

他方、湘南モノレールの走っている空間は、もと、自動車道と言われていたものです。根拠法は、戦後の呼称に依ると、道路運送法と言われるもので、企業が有料道路を作り、通行する車から料金をとって、事業を成り立たせると言うものです。例えば「箱根ターンパイク」などがその一例で、それは誰でも通行できる道路法の道路と違い、道路自体がビジネスを成すわけです。

そうした道路が、大船・江ノ島間に出来たのです。昭和五年の事で、それこそ本邦最初でした。作った企業は、今日の京浜急行に繋がる会社です。往時の自動車の台数は全国で六万台ほどしかなく、交通量は知れていましたから、時折、料金を払う車が、その道路に入って行くと言う状態だったのでしょう。資料に依れば、美しく舗装された道路に、履き物を脱いで入った住民も居たと言いますから、時代の実相の変化とは大きいものですね。

この自動車道はやがて、他の道路がどんどん通って回りが市街すると、そこだけ有料を維持することが困難となり、鎌倉市道や藤沢市道へと衣替えして行きました。

でも、自動車道と言う企業空間が在ったことは、それを活用して、モノレールを通すことを試みると言う段階に発展していく道に繋がっていたように思われます。 それが、つまり湘南モノレールなのです。
みちのりホールディングズが湘南モノレールを経営、再建へ

そして、三菱系の企業が作り、所有し、経営してきた従来からの形態も、鉄道経営再建のプロである「みちのりホールディングス」(元産業再生機構最高執行責任者富山和彦氏が代表取締役・最高経営責任者を務め、事業会社の役員経験者、コンサルティング会社、投資ファンド、金融機関、会計・法律事務所出身者などで構成されている「経営共創基盤」が100%出資する子会社)が、ほとんどの株を引き受ける体制へと変わりました。
これを受けて、現場の雰囲気も変化し、緊張感が出て来ているようです。


この記事のコメント

  1. 杉浦 右蔵 元集yu何かの会員 より:

    集yuが無くなってから仲津さんの健筆に久しくお目にかかりました。湘南モノレールに初乗車されて良かったですね。私は千葉市にたまに行きますが、千葉モノレールも同じですね。どちらも三菱方式のようです。情報屋台に感謝。

  2. うるさいおじーさん より:

    湘南モノレールには、建設直後に乗りました。すぐ故障したり、老朽化して、廃止になるような気がしましたが、しっかりと営業運転が続き、喜ばしく思っています。今後とも無事に運行されるように、メンテ等に努力されることを希望します。

  3. 普通の人 より:

    昨年、何十年振りにカミサンと一緒に鎌倉へ行こう思いたち、計画を立てました。今回は途中にモノレールがあるからそれに乗って行くことにしました。私は羽田浜松町間のモノレールで経験済でした、当日意気揚々と乗り込みスムーズに出発しました、しばらくするとなんとトンデモナイ物に乗ってしまったと後悔、実はジェットコースターが大嫌いなのです。また乗る機会があったら挑戦してみようと思います。

  4. 普通の人 より:

    昨年、カミサンと鎌倉へ行きました。せっかくだからモノレールに乗ろうということに、羽田までのモノレールは経験済みなのでよしと乗り込みました。それが大きな間違いであったことに気付きました。私はジェットコースターが大嫌いなのです。

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