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生き物の不可思議と、進化の謎

2015.09.30 Wed
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お彼岸が過ぎた言うのに結構暑い日がありますが、さすが、蝉の声はほとんど聞かれなくなりました。その一方、秋の虫の合唱はなお楽しませてくれます。また、9月28日から29日にかけては、本邦関東付近だと、幸い晴れの夜となり、通称「スーパームーン」と呼ばれる大きな月が輝きました。説明によれば、最小つまり地球から最も近い月がこの夜登場、それは距離にして約35万6千kmの位置にあって、最も遠い場合の約40万6千kmに比べ約5万kmも地球に近付いていたとのことでした。こうした事が起きるのは、地球を廻る月の公転軌道が楕円を描いているからとのこと、その最大直径を最小直径で割ると、ざっと1.15と言いますから、それは面積にして1.3倍ほどになり、やはり相当な比異があります。もっとも、ネットで送られて来る感想などでは、「スーパームーンと言うからには、もっと大きなものを期待していたのに、もう一つだった。」との声があちこちから在りましたね。

ところで、前回は、「ネアンデルタール人は私たちと交配した」と言う本から強烈なインパクトを受けて、何とか拙論を記しましたので、この機会に生き物や生命のことを勉強して浅学を少しでも改めようと、若干の本を入手し、読んでみました。かくて専門書ではない、アマチュア向きの啓発書などをと心がけたのですが、それでもとても難しく、当人の知識や理解力不足と相まって、苦労する毎日でした。然りながら9月も末日となり、分からない所を沢山残したままながら、ここで一文を記すこととします。

地球は誕生して約46億年経ち、最古の生物の化石が約35億年前とされる

現在までに得られている知見では、地球は銀河系島宇宙(天の川)の一角に太陽が誕生した頃、その惑星の一つとして形成されたと言います。今、往時の太陽系を探らんと盛んに探究と研究・調査が行われ、日本もその大事な一翼を担っていますが、地球での生命の発生については、地質学者や古生物学者が果敢に調べて来て、既に成果を挙げてきた由です。

私が今回読んだ本(京大名誉教授 宮田隆著の「分子からみた生物進化」や赤池学の「生物に学ぶイノベーション」など)によると、今から約35億年前には単細胞の生物が登場していた由、斯く生命が発生・生存していた事は、ストロマトライトと言うバクテリアの群集と石灰の付着物から出来た堆積物が世界中に散在することで確認されていると言います。思えば、約十億年程懸かって、諸条件が揃い、単細胞の生物が、地球の何処かで一回切り起きた生命体発生により生じ、あとは、その分裂で増殖、全世界に広まったとは、壮大な浪漫を感じさせます。このことで、生命の創造とは恐ろしく時間の掛かる大変な事だと言うのが分かりますし、同時に一旦生ずると、生命力が広がるパワーの凄さを教えてくれます。

この後、単細胞のバクテリアが約二十億年間も全地球を覆い、全盛を誇っていたと見られています。その状態は簡単には変わらなかったのです。生命の発達とは将に恐ろしく根気の要る仕事と言えるでしょう。

酸素が充満する大気へ変わって行って、酸素を使う生き物(動物など)が登場する

いま、酸素のある空気を吸入する私どもからすると理解しにくいのですが、酸素は生命体を痛み付ける有毒な物質であったと言われ、今日でも激しい運動で出来る「活性酸素」と言われる物質が筋肉などを損傷すると聞きます。スポーツ選手などが案外寿命が短いのも、その影響だと申しますね。

この大気内の酸素、厳密には遊離酸素と言いますが、原始地球には無かった由、かのバクテリアも海底火山の近くから噴出する硫化物のガスからエネルギーを得ていたと言います。ところが、このバクテリアの中で、シアノバクテリアという仲間が光合成を行うことで、エネルギーを得るようになりました。ここに、光合成とは炭酸ガスと水を取り込み、光のエネルギーを使って炭水化物などを造成、それで生命体の維持と活動を行うとともに、廃物で出る遊離酸素を放出する作用です。それは他のバクテリアには有毒ですから、彼等は懸かる大気の酸素汚染のため、絶滅に追いやられて行きました。近代の人間による大気汚染と似たような作用を持つ事を、シアノバクテリアはやっていたのです。(そのシアノバクテリアの仲間は今日も生きていると申します。)

斯くて、シアノバクテリアの繁栄と、それによる遊離酸素の造成・増加は、約二十五億年前から始まり、約六億年前まで続きました。この間、大気の組成は大きく変わって行きます。かくて、懸かる大気中の遊離酸素の大幅増加は、酸素を利用する生物の登場を、とうとう、もたらす事となりました。環境の大変化が生き物を大きく変えたのです。

生き物の進化と、そのメカニズム

さて、懸かる生き物の変化を通常「進化」(Evolution)と言いますが、その理論の創始者である英国のチャールス・ダーウィンは、有名なその著「種の起源(1859)」で、「Descent with modification」(変化を伴う継承)と言う用語によって表している由です。それは、「進化」(Evolution)という語に進歩や前進というニュアンスが入るため、ダーウィンはそういう意味はないゆえ、それを避けたかったからと見られると言います。

さて、この進化の結果、今日では何と約1億種の生物が、この惑星に生きていると言われ、地球は将に命の繁栄する星となったのです。将に進化の所産です。

そして、この進化は、今日では、ダーウィンの言う、環境への適応や変化への対応による「自然選択説」と、その後、二十世紀後半から急速に発展したDNAなどの解析・研究調査をもとにせる、「分子進化の中立説」によって説明されていると申します。この中で、分子進化の中立説の優れた学問貢献に対し、その主唱者である、日本の木村資生博士に、進化学のノーベル賞と言われる「ダーウィンメダル賞」が授与されている由です(1992)。

以上の概ねの考え方について、まとめて簡潔に記すと次の様になる由です。

1 まず生物に起きる変異の内、有害な変異は、自然選択によって集団から除去される。

2 生物の持つDNAについて、分子レベルで生じ、蓄積される大部分の変異は、その 生物に対し有利でも不利でもなく、中立で、偶然に集団に広まった変異である。

3 見た目でそれと分かる形態レベルでの進化は、有利な変異に、自然選択が働いた結 果起きる。

さて、この考え方を吟味すると、長年の学問的蓄積に加え、前世紀の後半から、凄まじく発達したDNAなどの分子レベルの調査・研究、実験・実証の所産として、「進化とはこれだ」という、もっと決定的な事が言えるのではないかと、私ども素人には思えます。

原文は何か、持って回った言い方に止まっていますね。

そして、分子レベルの変化が中立的にしか起きないと言うのも、分かりにくい言い方です。特に、「2の、適応と言う訳でもなく、偶然に広まっただけ」に至っては、では「良く言われる突然変異の積みかさねで、変化が起きる」というのはどうした事なのか、そもそも「現実に進化が起きているのは何なのか ?」と言う疑問が沸いてきます。端的に言えば、「2の通りならば、3の形態変化は一体何故起きるのでしょう?」と言う事になりますね。

かくて、今後の調査・研究に待つようだが、見えて来た所もある由

2の中から、出てくる生き物の知恵

実は、どんどん溜まるDNAなどの変異は沢山在り、その中には、役立つもののが出てくると言われます。また、個々の変異は中立的であっても、その集積となると効用を発揮する可能性が有ります。それに僅かでも違ったところがあって、それだけでも有利となると、その集団はその変異を使うかもしれません。何と言っても、結局は命が懸かっていますからね。

それに、生物は、これまで、取りあえず何かで間に合わせることで、生存の可能性を広げてきました。魚が陸生となって一旦身に付けた肺を、水生に戻るとき捨てずに、浮き袋として活用したと言うのは、その一例でしょう。

なので、進化の要因と切っ掛けについて、今後の調査・研究や議論の進展する事が楽しみです。

自然は跳躍しないと言うが、・・・。

これは有名なダーウィンの言の由、自然は徐々に進化すると言う事のようです。でも、地球の生物史は、大変な事を経験しています。

約六億年前の頃、地球は酸素に充ち満ちた大気を擁する惑星へと変わっていました。二十億年近いシアノバクリアの活動の結果です。その中で、酸素を呼吸で吸入し、それで栄養物を酸化し、エネルギー源とした上で、二酸化炭素を吐き出す「動物」が出現していました。約七億年前からの事です。そして、今度は、その二酸化炭素を利用して光合成を行う、バクテリアの上手を行く「植物」も登場して来ました。

すると、約五億四千万年前になって、突然とも言って良いほど、カンブリア紀と呼ばれる「動物大量発生期」がやってきたのです。奇妙な形をした動物が多種多様出現しました。有名なアノマロカリス、ピカイア、三葉虫も、その中に居ます。カンブリア紀と言えば、約百万年ほど続いた、古生代の始まりの頃ですが、百万年と言う長さは、地質学的年代からすると、ほんの一瞬に過ぎません。

その瞬間的な短い期間に、カンブリア大爆発が起きたのです。自然は徐々にではなく、跳躍しました。「何故か、どう言うメカニズムか、その再来は?」などなど疑問が尽きません。

他方、この跳躍に対し、この後、大絶滅と言われる現象が五回起きています。その中で、最近に起き、最も良く知られているのは、恐竜絶滅を引き起こした約六千五百万年前の大隕石の衝突でしょう。斯く見ると、生命史とは連続面と不連続面の両方が在る様です。

インフルエンザは、一種の跳躍か?

インフルエンザは、その病原体のウィルスに感染して、時折、大流行が引き起こされますが、その最大の特性は変化乃至進化を数年から一年で引き起こすところにあるように思われます。そのウィルスとは、「生物であり、そうでもない」と言う誠に不可思議な理解しがたい存在ですが、進化の急激さはその特異性の最たるものでょう。ここでも自然は跳躍するのです。ワクチンが出来ても、病原体の型が変わると効かなくなります。これも一種の進化でしょうが、ダーウィンの頃には知られていなかったのでしょう。斯くて、人類がインフルエンザから受けている挑戦は、生命史の視点から見ると、極めて重大と言うべきでしょう。

人類(ホモ・サピエンス)は特別か?

人類(ホモ・サピエンス)は自身で特別の存在と思っているところがあり、取り分け、知能や心はその証左とされます。しかし、ダーウィン自身は、人間と動物の違いは程度の差であって、質的な相違でないと主張していた由、このことを良く噛みしめておく必要がありそうです。近年の研究によれば、肉親の死にひどく悲しむ行動が、猿、チンパンジ-、おしどり、オウムなどで観察されていると言います。

私どもも、実際、犬や猫を飼っていると、彼等が相応に頭が働き、感情を持っている事を経験します。

この点、西洋にはキリスト教の伝統があって、人間が神によってその姿に似て作られたという信仰があるゆえに、人間特別視は根強いものが在るようですね。進化理論と信仰との間には、ただならぬ緊張が存在してきた様な気がします。

典型的なピルドダウン人事件

1909年、百年少し前ですが、ダーウィンの母国の英国で、「ピルドダウン人事件」言う化石捏造事件が起きています。英国の「ピルトダウンと言う所で、化石人骨が発見された」と大英博物館の専門家が発表、同国人類学界の大御所が鑑定し、それを人類の祖先の化石と支持したのです。ポイントは「発達した脳と原始的な顎(あご)」に在ったと言われます。

ネアンデルタール人など、他の化石人骨がヨーロッパやアジアの各地で発見されていた中で、英国だけがそれが無かった、然るにピルドダウン人が見つかり、「顎に猿の特徴があっても脳は現代人並みに大きい、立派だ。さすが、世界の覇者たる大英帝国の誇りである。」との評価と思い込みがあって、贋作(現代人の頭蓋にオランウータンの顎を繋ぎ合わせたもの)が作られ、鑑定者はそれに乗っかったと言います。先入観と博物館の権威が効いたのか、実に四十年間も露見しなかったのです。

このピルドダウン人のマイナスは大きく、1924年にレイモンド・ダートが南アフリカのスタークフォンテン(私どもも2013年の南部アフリカの旅で訪ねた)で、ホモ属でない古い属のアウストラロピテクス・アフリカヌスを発見していたのに、「ピルトダウン人が居て、それが現世人類の祖先なら、アウストラロピテクスなどは猿の祖先だ」と無視されてしまったと言います。かくて、このダートの発見は、ダーウィンが「人類はアフリカで発祥した」と予言したことを裏づける重要な証拠となるものであったのに、正当な扱いを受けず、偽ビルトダウン人は、学問と私どもの知見の進歩を大きく妨げたのです。

そこには、現世人類の祖先がアフリカの暗黒大陸から出たとは認めたがらない、英国始めヨーロッパの空気を良く示している面もあるようです。この事からすると、近年、ホモ・サピエンスの発祥がアフリカ単独起源説に収斂しつつ在る事は「善くぞ此処まで来た」と思わせますし、ネアンデルタール人と現世人類が交配していたことをスェーデンの学者が実証し、それを発表した(2010)と言うのも、「良くやった」と言う感じで、何か大きな変化を物語っている観がありますね。将に、洋の東西に亘って、学ぶことが多いようです。


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