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波乱の幕開け

2019.01.04 Fri
政治

新年最初の株式市場は大きな値下がり始まり、経済乱調を予感させる幕開けとなりました。振り返れば、2008年のリーマンショック以来、日米欧の先進国は大胆な金融緩和によって、ショックが世界恐慌に発展するのを抑えてきましたが、米欧の中央銀行は世界経済の回復をみて、おそるおそる踏み込んだ金融緩和のアクセルペダルを緩め、ペダルから足をはずそうとしています。

 

昨年後半からの株式市場の値下がりは、そうした流れに対する投資家の不安心理を表すものでしたが、米中貿易戦争の影響がアップルの減益予測によって、不安心理が一気に燃え上がったのでしょう。さすがのトランプ大統領も株式市場を敵に回して、中国たたきを貫くことはできないでしょうから、中国との妥協策をさがすことになると思います。米国の株式市場は、日本と違って、多くの個人投資家が参加していますから、その票田に水をかけ続けることはできないはずです。

 

しかし、米中貿易戦争は、知的財産権などでお行儀の悪い中国を米国が懲らしめるといったたぐいの“通商戦争”ではなく、これからの世界経済をめぐる“覇権戦争”だと世界は見ています。その背景にあるのは、「冷戦後」といわれる1990年代以降の世界を「一極支配」してきた米国のパワーが弱まり、さまざまな国がそれぞれの得意分野でパワーを誇示する多極化の時代へのパワーシフトの流れです。

 

時代の大きな転換期ですから、何が起きても不思議ではありません。世界が揺れ動くのですから、経済では足元の自国経済を優先する一国主義の経済運営が強まるでしょうし、外交では経済の弱さを外敵の存在によって取り繕うナショナリズムが出てくるでしょう。経済も外交もナショナリズムがはびこる時代は、首脳たちがナショナリズムの行き過ぎを抑制しなければ、他国との衝突に入り込むおそれもあります。

 

自己抑制には忍耐が必要ですが、国民からみれば、衝突を回避しようとする政権は弱腰に見えます。したがって、人気取りに走る政権は、衝突ぎりぎりまで突っ走る「水際外交」に陥りがちで、「一触即発」の危険が高まります。世界を見渡せば、米国も、中国も、ロシアも、そして日本も、「こわもてのポピュリズム」ともいえそうな首脳たちがそれぞれの国を率いています。

 

危機に対応するには「慌てず、騒がず、うろたえず」の心構えが必要ですが、なかなかそうできないのも人間です。2011年3月11日の東日本大震災から1か月後の4月7日、震災後最大のM7.2の余震がありました。仙台市のマンションに暮らしていた私は入浴中で、ふろ場から裸で廊下に飛び出したのですが、ふろ場のドアを閉め忘れたため、バスタブを超えた水が廊下まであふれ出てしまいました。小心者の入浴は危機に瀕しても廊下を水浸しにするだけですが、ぬるま湯の政治につかりきった小心者たちは、国中を水浸しにしかねません。これからの激動の時代に求められるのは、「慌てず、騒がず、うろたえず」の心構えを持った政治家で、私たちはそういう政治家を選挙で選び出さなければならないということになります。日本では、今夏に参院選挙があります。ことしは危機の時代を迎える選挙の年でもあります。


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