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森友問題、8億円値引きの核心に迫るリポート

2017.04.12 Wed
kazakiri 26 chisou

シリアでの化学兵器使用疑惑、トランプ政権によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃と大きなニュースが続き、森友学園問題は小さなニュースになりつつあります。大阪地検特捜部は、森友学園の籠池泰典氏が国の補助金を不正に受け取った疑いがあるとの告発を受理し、補助金適正化法違反で取り調べる構えを見せています。新聞各紙はこの告発受理を比較的大きく取り上げ、「ここが落としどころ」のような報道をしています。

冗談ではありません。こんな報道をしているから、新聞はますます「信用できない」と相手にされなくなるのです。森友学園問題の核心は、「9億円の国有地がなぜ8億円も値引きされて森友側に売却されたのか」にあります。新聞各紙には、その核心に迫る記事が見当たりません。掘り下げようとする気迫も感じられません。そんな中で、またしてもウェブのニュースサイトに核心をつく記事が登場しました。環境ジャーナリスト、青木泰(やすし)氏の「森友問題 地中深部ごみは『存在しない』との報告書」という記事です(全文は末尾のURL参照)。

すでに報道されている通り、森友学園が「瑞穂の國記念小學院」の建設を予定していた土地は、隣の豊中市の公園建設予定地とともに国有地でした。もともと住宅地だったところを国土交通省大阪航空局が伊丹空港の騒音防止区域として買い上げ、取得した土地です。阪神大震災の後、豊中市はこの土地を防災避難公園として国から購入しようとしたのですが、財政的に全部買うのは無理だったため半分だけ購入し、あとの半分は国有地のまま残っていたものです。それを森友学園が小学校建設用地として購入した、という経緯があります。

豊中市は9492平方メートルの土地を14億2300万円で購入、一方の森友学園は隣の8770平方メートルを1億3400万円と格安の値段で購入しました。しかも、財務省近畿財務局は森友学園への売却額を非公開にしました。それを、豊中市の木村真(まこと)市議(無所属)が情報公開請求をして暴露し、8億円も値引きしていたことが明るみに出たのです。これが明らかになるや、財務省は「地下に大量のごみがある。その撤去費用として8億円値引きした」と釈明しました。とくに、「地中深くにごみがたくさんある」というのが大幅値引きの理由でした。

従って、メディアが追及すべきは「本当に地中深くに大量のごみがあったのか」という点です。青木泰氏は、技術者の立場からこの問題を掘り下げ、「地中深くにごみなどない。専門業者がボーリング調査した報告書があり、財務省が保管している」ということを突きとめ、Business Journal というニュースサイトで特報しました。

青木氏によれば、問題の報告書が作成されたのは平成26年(2014年)12月で、「(仮称)M学園小学校新築工事 地盤調査報告書」というタイトルが付いています。この報告書には土地の地層図も添えられており、①盛り土(3メートル)②沖積層(7.3メートル)➂洪積層(4~7メートル)という3層になっていることが分かります。①の盛り土は、沼地や田畑だったところを宅地化するさいに盛られたもので、ここには植物の根や塩化ビニール片、木片などが混入している可能性があります。しかし、その下部、沖積層や洪積層には、大量のごみなど存在し得ないのです(あったら、考古学上の大発見になります)。

財務省はそうした報告書を保管し、土地の状況を知っていながら、国土交通省大阪航空局に「地下深くに大量のごみがあり、撤去に多額の費用がかかる」との鑑定を出させ、8億円の値引きをしていたわけです。これは国有財産の価値を不当に下げて政府に損害を与える背任行為であり、立派な犯罪です。「籠池氏は小学校建設工事の契約額をごまかして補助金を不正に受け取った」という容疑より、はるかに深刻で姑息な行為です。

そうした罪を犯した者たちが素知らぬ顔で国の財政をつかさどり、国民から税金を取り立てる。そんなことがまかり通っていいはずがありません。森友学園への8億円値引き売却を暴いた木村真・豊中市議らは3月22日、大阪地検特捜部に「財務省近畿財務局の職員(氏名不詳)が国有地を不当に安く売却して国に損害を与えた」として、背任容疑で告発しました。大阪地検特捜部は4月5日、この告発を受理し、新聞各紙はそのニュースをベタ記事で伝えました。「どうせ受理しただけ。検察には立件する気はない」と言いたいのでしょう。

検察にも心ある人はまだいる、と信じたい。告発を正面から受けとめ、「裁かれるべき者には裁きを与えなければならない」との判断が下る日が来ることを信じたい。

 

≪参考サイト≫
◎森友問題 地中深部ごみは「存在しない」との報告書(青木泰氏、Business Journalのサイト)
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18667.html
◎環境ジャーナリスト、青木泰(やすし)氏による解説「実はなかった8億円のごみ」の動画(ユーチューブ)

◎青木泰氏のプロフィール
http://www.hmv.co.jp/artist_%E9%9D%92%E6%9C%A8%E6%B3%B0_200000000454851/biography/media_all/

 

≪写真説明とSource≫
◎財務省保有の「(仮称)M学園小学校新築工事 地盤調査報告書」(平成26年12月)に添えられている地層図(記事の中ほどにあります)
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18667_3.html


この記事のコメント

  1. 中北 宏八 より:

    まったくその通りですね。「日本会議疑獄」としてきちんと事件にさせねば。そこまで行ければ、木村市議は田中金脈の立花隆と並ぶことになります。

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