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“SNS御三家“の特徴とは  ネットコミュニティの20年(2)

2017.12.24 Sun
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ソーシャルメディア図201712

2世代のネットコミュニティ  ジャンル・テーマを軸に

前回述べた掲示板やMLといった、“貸し部室”型の第1世代のネットコミュニティの後、コミュニティサイトの主流は、貸し部室型ではなく、特定のテーマやジャンルに特化して、コメント欄やレビュー欄を内部に持つ第2世代に移りました。

代表例は、価格コムや食べログ、クックパッド、アマゾン、ウィメンズパーク、みんなの介護などです。これらはテーマに即したコンテンツやメニューが充実しているので、関心層が多数集まり、コミュニティを形成しやすいと言えます。

価格.comの前身のサービスは1997年に始まりました。その後2000年に名称を価格.comとし、翌2001年には月間利用者数が100万人を突破、2011年には7000万人にまで拡大しました。価格.comのサイトでは、パソコンや家電製品などさまざまなジャンルの商品の価格や特徴を比較できます。それに加えて、レビューと口コミの欄があり、発言やコメントが多数載っています。このように、商品の価格比較をするというサイトの性格がまず設定されていて、その中でレビューや口コミの欄が付いているということから、一種のコミュニティを形成しているわけです。

アマゾンも商品のレビューの面で価格.comと同類です。本をはじめとするさまざまなジャンルの商品について、誰でも評価(レビュー)を書き込めます。そして、その評価自体が、本や商品の購入を検討している人から、役に立ったかそうでもないかを☆の数で評価されるしくみです。

出産、育児、介護といったライフステージ上での切実なテーマに関しては、共感や解決策を述べあうネットコミュニティが大きな役割をになっています。ウィメンズパークやみんなの介護はその例と言えます。

ベネッセが運営するウィメンズパーク(2000年開始)は、女性限定で、妊娠、出産、育児、暮らしというジャンルの口コミを扱う日本最大級の口コミサイトであす。口コミ総数は3700万に達するといいます。

みんなの介護は、有料老人ホームなど介護施設を探索するサイトで、月間330万人が閲覧しているといいます(2017年10月)。その中にコミュニティというメニューがあり、「介護に関する悩み・相談をみんなで解決!」というキャッチフレーズが掲げられています。

その他ゲームサイトを含め、さまざまなテーマやジャンルのサイトの中にコミュニティ機能を持っているところがあります。

ネットコミュニティの発展段階図201712         (c)MENJO,Satoshi

3世代のコミュニティ  人でつながるSNS

一方、この10年の間にSNS(ソーシャルネットワークサービス)と呼ばれるネットサービスが急成長しました。その代表はLINE、フェイスブック、ツイッターであり、これらは第3世代のネットコミュニティと言えます。

SNSの定義は?と聞かれると意外に難しいことがわかります。オンライン辞書のWeblioは「参加するユーザーが互いに自分の趣味、好み、友人、社会生活などのことを公開しあったりしながら、幅広いコミュニケーションを取り合うことを目的としたコミュニティ型のWebサイトのことである。」と書いていますが、この定義はコミュニティ第1世代の掲示板やML、さらに第2世代のジャンル・テーマ特化型コミュニティのかなりのものにもあてはまってしまいます。

SNSの核心は、第1世代、第2世代のネットコミュニティと比較したときに鮮明になります。すなわち、第1世代が貸し部室型、第2世代がテーマ型であるのに対して、SNSは「人」を軸にしたネットコミュニティだということです。ソーシャルという言葉がそもそも人と人の関係という意味を含んでいます。「人つながり」こそがSNSの原理であると言えます。

 ①フェイスブック

2004年にサービスが始まったフェイスブックは、実名主義のSNSであり、本人のプロフィール写真を掲載するのが原則です。実際には、ペットの写真を載せたり、幼少の頃の写真(本人には違いないが)を載せている人もいます。基本的な機能は、日々のできごとや意見などを、文章や写真、動画で毎日投稿していけることであり、それが自分の「タイムライン」に並んでいきます。自分の投稿をフェイスブック登録者全員に見られてよいか、「友達」だけに見せたいかは自由に設定できます。その設定は投稿のつど変えることもできます。

投稿を見た人は、「いいね!」とか「すごいね!」などのボタンを押して、閲覧した痕跡を残すことができます。また、コメントを書き込むこともできるし、特に気に入った投稿は「シェア」ボタンを押すと自分のタイムラインに表示されるようになって、自分の友達などにアピールできます。

フェイスブックは独特の運用方法により、登録者同士の交流が活発になるようさまざまなしかけをしています。誰かが自分の投稿に「いいね!」をしたら、それを知らせてくれるし、今日は誰々の誕生日だからメッセージを書き込みましょうなどといった半ばおせっかいともいえるサービスがいろいろあります。

「フェイスブック友達」になるには、友達申請をして相手の承認を得る必要があります。多くのユーザーは面識のある人を中心に「友達」関係を形成しています。いわば同窓会やサロンのような社交の場になっていると言えます。ただし、面識があるからといって、相手のことをすべて知っているわけではないのは当然であり、「ある面」を知っているだけなのが普通です。そういう相手の今の行動が見えたり、新たな面を“発見”できたりします。それによって、面識を得た時点よりも関係が深まるという付加的な満足をもたらすこともフェイスブックの価値です。

このような「友達」を中心とした交友関係のやりとりをしていくことを通じて、フェイスブック利用者は、他者との関係によって、アイデンティティを形成したり、一種の自己ブランディングをしているとも言えます。

なお、有名人のフェイスブックの利用はファンクラブをつくるような意識が多く、見知らぬ人から友達申請が来ても受けてしまうケースが多いのが実情です。そのため、実名であっても、コメントをつける人同士で非難しあったり喧嘩になることがあります。

フェイスブックは2004年にスタート、現在世界に約20億人、日本に約2800万人のユーザーがいます。

 ②LINE

LINEは、家族や友達など、日常的な交友関係を持つ人たちを中心としたチャットトークが行き交うメディアです。2011年にサービスが始まって以来、急速に普及が広まり、フェイスブックに比べると若年層のユーザー比率が高いものの、幅広い年齢層に広がっています。(全世界約2億人、日本約7000万人) たいていはスマホを通じてやりとりされています。自由にグループを作ることもできます。

LINEでやりとりされる内容の大部分は、短い文を往復させる日常的な会話です。絵文字も多用されます。あまりにも手軽にやりとりできるために、時に“返信圧力”が負担になることや、仲間はずれにされる恐れを感じたりすることがデメリットとして言われています。

LINEとフェイスブックは第1、第2世代と異なり、ネットだけで完結せず、物理的な対面・交流関係の場と連なったり相補関係を持つことが多いのも特徴です。

 ③ツイッター

2006年に始まったツイッターのユーザーは全世界で約3億、日本で約4000万人に達しています。ツイッターを旧来マスメディアが紹介する場合、「ミニブログ」と呼ぶことがあります。ツイッターに書くことを「つぶやく」ということが多いですが、思いついたことを140字以内の短文でつぶやくことは、確かにブログのミニ版と言えなくもないです。しかし、短いつぶやきであるがゆえに、人目に触れて「いいね!」をもらったり、リツイート(引用)により共有される“フットワーク”がブログよりも軽いということができます。

ツイッターはLINEやフェイスブックに比べて、利用者相互間の人間関係が遠い。実際、ツイッターでの発言は、見知らぬ人が通る街頭で演説をするようなものだと言えます。発信する多くの人にとってはミニコミ程度の読者数にとどまりますが、気に留めてくれる人(フォロワー)を一種のファンクラブのように組織できる。トランプ大統領のように2000万人ものフォロワーがつくのは例外中の例外としても、個人でマスメディアレベルのフォロワーをかかえる例も多くあります。

ツイッターでの発言はハンドルネームを使って匿名ででき、面識のない不特定多数の人に読まれるので、意見や主張を書くと、穏やかなコメントばかりでなく、断定的な全否定発言だったり、侮辱ないし罵倒するような発言に見舞われることがあります。利用率の高い20代の男女が、ツイッター利用のメリットとして最も評価しているのは「気軽に見られる」と「暇つぶしによい」です。(2015年、遠藤薫氏調査による)その気軽さと匿名性が、一方で「軽率な投稿が多い」という評価につながっている。(同調査)

ツイッターは、個人が発信するミニメディアであるという側面と、個人をフォローする人々に囲まれたファンクラブという側面の2つの特性を持っています。前者の例としては、たまたま事故などに出会った人がツイッターで現場からの1次情報を発信するような場合です。映画「ハドソン川の奇跡」は、飛行機の不時着事故(2009年)で、現場に居合わせた人がツイッターで写真を次々にアップしたという有名な事例をもとにしています。近年、一般の人のツイッターによる現場の1次情報(竜巻や洪水の映像など)を既存のテレビが取り上げることも増えています。

後者のファンクラブ的な特性というのは、ツイッターで意見を表明すると、それに共感する人がフォローして、継続的に発言を読んでくれる“ファン”ができることです。これは人を軸にしたネットコミュニティです。政治家や芸能人、評論家などの論者などのツイッター利用の多くはこの例に当たります。政治的な意見に対しては、共感ばかりでなく、非難や侮辱もぶつけられることがしばしばであり、それらに耐えて自分を保つためには一種のタフさが必要です。

以上のような第3世代のネットコミュニティの代表格であるLINE、フェイスブック、ツイッターの3大コミュニティサイトに共通するのは、テーマ以前に「人」を軸につながりが作られていることです。

なお、第1,2,3世代のネットコミュニティは時期的にはかなり重なって、現在も並行して存続しています。

 

前回と今回の2回にわけてネットコミュニティについて語りましたが、11月16日に出た「インターネットマガジン 1号限りの復活号」(インプレス刊)のコラムにエッセンスをまとめて書きました。題して「ネットコミュニティ3代ばなし」です。

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(参照) ネットコミュニティの20年(1)

 


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